こじま内科クリニック

息切れする

ぜんそく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など

多くの呼吸器疾患は呼吸困難の原因となりえます。

緊急性を伴った初期治療が必要な疾患として気管支喘息発作、COPD(慢性閉塞性肺疾患)急性増悪、肺血栓塞栓症、自然気胸などがあります。数時間から数日以内にみられる亜急性と、数日から数年の間に進行してみられる慢性の呼吸困難があります。肺や気管支の疾患は多数あり、その大部分で程度の違いこそありますが呼吸困難を引き起こす可能性があります。ここでは比較的頻度が高い「ぜんそく」と「COPD」について説明します。

気管支喘息(ぜんそく)

一般的に「ぜんそく」は「気管支喘息」のことであり、気管支がアレルギー性の慢性炎症によって気道が敏感になり収縮し発作的な呼吸困難や咳嗽などの症状を引き起こす疾患です。発作性の呼吸困難や喘鳴(ぜいめい)(ヒューヒュー、ゼーゼーと音を立てて息苦しくなる)、せきなどの症状がみられます。朝方や就寝時に、気圧の変動が大きいとき(台風や梅雨)、季節の変わり目(冬から春になるとき、夏から秋になるときなど)に発作がみられやすくなることが多いです。時に症状は一過性であるためそのまま放置されることがあります。しかし気管支喘息は軽症であったとしても経過とともに次第に不可逆的なリモデリング(少し難しい話になりますが、アレルギーに関与する好酸球などの細胞が増加した状態が続き気道が刺激し続けられ、これを医学的に慢性気道炎症といいます。この状態が継続すると最終的には気道の壁が分厚くなり気道が狭窄し元に戻らなくなった状態をリモデリングといいます)が形成され、これにより喘息発作が起こりやすくなり治療の反応も悪化します。そのため、病初期より発作など症状がみられない時でも抗炎症薬、吸入療法を継続する継続することが重要です。長期の吸入は負担であると感じられるかもしれません。しかし現在は内服薬との併用や、1日1回の吸入薬など患者さんの負担を減らす方法があります。ひとえに吸入薬といっても各製薬会社より多種にわたって形状、剤型、吸入方法があり、患者さんに適した吸入薬を選択することも重要です。治療の中心は吸入ステロイド薬となり、ステロイドときくと不安に感じる患者さんもいらっしゃると思われますが、ステロイドを含め喘息に対して正しい知識を得ることで発作のない通常通りの生活を送ることができます。喘息治療で不安なこと、困ったことがありましたらいつでもご相談下さい。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)は慢性気管支炎、肺気腫、または両者の併発により引き起こされた喫煙が原因となることが多い閉塞性換気障害を特徴とします。現在あるいは過去の喫煙などが原因で慢性的に進行し慢性呼吸不全(慢性的に息苦しい)状態になります。慢性気管支炎は気道分泌物(喀痰)が増加した状態で、咳と痰が持続的にみられます。肺気腫は肺胞壁(つまりは肺を形成している部位)が様々な有毒ガスや微粒子(特に喫煙)の慢性的な吸入によって破壊された状態となります。初期は無症状で自覚症状が乏しいのですが、数年かけて病状が進行すると、湿性咳嗽(喀痰を伴った咳)やたんの増加がみられるようになり、初めは階段の昇降時や坂道など負担がかかたときにのみ息切れがみられますが、更に進行すると次第に日常会話の際にも症状が出現するようになり最終的には安静時にも息切れがみられる状態になります。比較的高齢者に多い疾患であるため息切れは「年齢のせい」として受診が遅れる傾向にあります。COPDの治療で最も重要なものは禁煙することです。来院時に喫煙されている方にはまず禁煙から取り組んでいただきます。そのうえで症状や病状にあわせて吸入薬(長時間作用型抗コリン薬や長時間作用型β刺激薬の吸入など)を併用し治療を行います。COPDは重症化すると通常時においても低酸素血症(生命維持に必要な酸素が不足した状態)の状態となることがあり、その場合には十分な説明を行ったうえで(在宅)酸素療法が必要となる場合もあります。 過去の喫煙習慣を悔いても仕方がありません。COPDの治療で重要なことはいち早く病状とむきあい、適切な治療を受けることで進行を食い止めることだと考えます。今は自覚症状はなくても過去に多くの喫煙をされていた方はCOPDである可能性があります。息切れは「歳のせい」と自己判断することなく、少しでも不安に感じられましたらできるだけ早い段階で当院にご相談下さい。